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ドイツ人アーティストが集結!人間の問題点を浮き彫りにする話題の楽曲「ヨーロッパ」について

今回の記事では
ドイツでの友人の新しい音楽プロジェクト「Europe(ヨーロッパ)」 について紹介します。 
 

ドイツで活躍する4人のアーティストが集結して作られた話題曲「ヨーロッパ」

↑動画はこちらから
 
ドイツを中心に活躍する4人のシンガーソングライターが集結して作られたのが、この「ヨーロッパ」という楽曲です。
 
曲は4つのパートに分かれており、4人のアーティストがそれぞれ1パートずつ担当して自ら歌詞を書き、歌い上げています。
 
4人のアーティストがそれぞれ歌に込めた想いが、ヨーロッパのモノクロ映像美しいピアノの旋律に乗って聴くものの心に響き渡ります。
 

4つのタイムライン「過去」「近代」「現在」「未来」で繋がっている

4つのパートはそれぞれ「過去」「近代」「現在」「未来」というタイムラインで繋がっており、それぞれが今も昔も残念ながら変わることのない人間社会の問題 を提起し、私たちに投げかけています。
 
  • 1番最初の「過去」のパートでは、ギリシャ神話の中の少女エウローペー(Europe)に起こった悲しい出来事について
  • 2番目の「近代」のパートでは、過去の人間が犯した過ちについて
  • 3番目の「現在」のパートでは、今現在私達の身に起こっている問題について
  • 最後の「未来」のパートでは、この先の未来がどうなるのかを未来の視点から予想しています。
 
4つの異なる時系列で曲は進んでいきますが、どのパートも主張しているのは人間が繰り返してきた過ちや愚かさについて。
 
この数千年、現在、そしてそれに続くであろう未来。
人間が自然に、また同じ人間に一体何をしてきたのか。
 
時代は異なりますが、4つのパートとも舞台は彼らの故郷であるヨーロッパです。
 
以下からは、4つのパートを担当したアーティストとそれぞれの歌詞について書いていきます。
 

パートごとのアーティスト・歌詞紹介

第1パート:過去

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画像引用:公式Facebook
まず最初に登場するのは、私の友人でもあるFelix Meyer(フィリックス・マイヤー)。
 
フランスの大衆歌謡であるシャンソンをドイツ風にアレンジした独特な音楽・力強い歌声と、人を引き込む魅力のあるメッセージ性の強い歌詞が特徴的なドイツ人シンガーソングライターです。
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画像引用:YouTube
 
彼が歌う曲の最初のパートは、「ヨーロッパ」の名前の由来ともなったギリシャ神話に登場する女性・エウローペーがモチーフとなっています。
 
 花を摘むエウローペーに一目惚れしたゼウスは雄牛に変身し、彼女を背中に乗せて誘拐する。
海を渡ってクレータ島へと連れ去られたエウローペーは、そこでゼウスと交わり3人の子を産む。
現代で言う、誘拐とレイプですね、、、。
 
彼が歌う曲の最初のパートは遠い昔にギリシャで起こった神話の中での話ですが、この悲しい物語は現在までのヨーロッパの現状を反映しているようです。
 
♦♦♦♦♦
Die Luft war aus Salz und der Tag ganz aus Licht
und du, Mädchen, spieltest im Sand
und wurdest von Tieren, den Kindern und Göttern
verehrt und Europa genannt.
 
空気は塩を含み 日は陽に満ちていた
そして君は その少女は 砂の中で遊んでいた
君は動物達や子ども達、また神々に成り
尊敬されて「ヨーロッパ」と名付けられた
 
Da brach der Himmel auf und aus der Herde 
Stiere kam einer hervor, 
überwältigte dich mit Anmut und Macht 
bis sich dein Schreien in den Wellen verlor. 
 
ある時、空が裂け その群れの中から
1頭の雄牛がやって来た
雄牛はその優雅さと力で圧倒した
君の叫びが波の中に消えるまで
 
Das Meer verschluckte euch und ließ euch treiben, 
auf einer Insel spuckte es euch wieder aus. 
Du lerntest die Bestie zu lieben und sie 
schenkte dir dafür das Land, den Wind und ein Haus. 
 
海は飲みこみ 押し流した
1つの島に 君を再び吐き出すまで  
君は獣を愛すことを学び
その見返りに土地と風と家を与えられた
 
Und nun sag mir wie fühlt sich das an, 
wenn einem so viel Blut durch die Finger rann, 
wenn die Ohnmacht die Gewalt nicht mehr beim Namen nennen kann, 
Europa, wie fühlt sich das an? 
 
そして今 君がどう感じているのかを教えてくれ
こんなにも多くの血が 君の指の間を流れたことについて
この無力を暴力という名前で呼ぶことが出来ないのなら
ヨーロッパ、君はどう感じる?
 

第2パート:近代

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画像引用:公式Facebook
Max Prosa(マックス・プローザ)は、ベルリン出身のシンガーソングライターです。
 
その容貌や音楽性から若い時とボブ・ディランと比べられることもあり、CDやコンサートのみならず本まで発売する才能に溢れたアーティストです。
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画像引用:YouTube
 
彼が歌う2番目のパートの特徴は、近代のヨーロッパに起こった悲劇。
主に争いが絶えなかったヨーロッパでの戦争についての話だと思われます。
 
最初のパートとは対照的に始終絶望感が溢れており、最後は第1パートと同じく聴くものに問いかけるような言葉で締められています。
 
♦♦♦♦♦
Die Luft war aus Stahl und der Himmel hing schief, 
Horden senkten verbittert ihr Haupt, 
gingen aufeinander los, gingen durcheinander durch, 
wurden gemordet, geschändet, geraubt. 
 
空気は鋼を含み 空は歪んでいた
兵士達は その不機嫌な頭を垂れた
互いにぶつかり合い 互いに入り乱れ
殺され 冒涜され 奪われた
 
Du lenktest das Schiff durch Meere aus Blut, 
jahrtausendelang nur auf Sicht, 
die Welt um dich Chaos und Untergang 
und du darin das einzige Licht. 
 
君は血の海を船で渡った
何千年もの間 視界の先にあったのは
世界の混沌と没落だけだった
そしてその中で 君だけがたった一つの光だった
 
Sag mir wie fühlt sich das an, 
wenn einem so viel Blut durch die Finger rann, 
wenn die Ohnmacht die Gewalt nicht mehr beim Namen nennen kann, Europa, wie fühlt sich das an? 
 
そして今 君がどう感じているのかを教えてくれ
こんなにも多くの血が 君の指の間を流れたことについて
この無力を暴力という名前で呼ぶことが出来ないのなら
ヨーロッパ、君はどう感じる?
 

第3パート:現在

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画像引用:公式Facebook
Fayzen(フェイゼン)は、ユニバーサルミュージック所属のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、楽器奏者です。
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画像引用:YouTube
 
彼が担当する3つ目のパートは、先の2つのパートとは異なりラップ調で歌われています。
 
歌詞では現在のヨーロッパの現状を描いていますが、注目すべきはそれがすべて過去形で歌われていること。
 
人間の今の生活が、将来どんな結末を生み出すのか。
人々の現在の姿を映し出すことにより、決して明るくはないであろう未来の姿を暗示しています。
 
これまでの歌詞が暗示的であったのに対し、彼の歌詞はとても直接的で聴く人にまっすぐ届いていきます。
 
♦♦♦♦♦
Ich bin aufgewachsen in nem reichen Land, 
in dem sich jeder alles leisten kann, bleibt er nur bei Verstand. 
Das hört sich einfach an, doch die meisten, die ich kenne, 
machte diese Scheiße krank.
 
僕は裕福な国で育った 何でも手に入れることのできる国で
それだけが理由だった
簡単なように聞こえるけど 僕の知っているほとんどの人は
このクソにはうんざりしていた
 
In tausend Jahren wird man sagen, 
es gab mal einen Ort, da konnte jeder alles haben, 
selbst die Junkies auf den Straßen hatten was im Magen – 
ja so wars, ja, so hat sich das mal zugetragen. 
 
何千年もの間 言われてきた
すべての人がすべてを手に入れることのできる場所があると
道にいるヤク中でさえ 胃の中には何かが入っていたというのに
そうなんだ そう こんな風にして起こったんだ
 
Menschen flogen einmal um die Welt mit ihrem Pass, 
schliefen im Hotel oder im Zelt, je nach Geschmack. 
Zu Essen gab es alles, egal aus welchem Land, 
indisch und indianisch im Regal und Restaurant. 
 
人々はパスポートと共に世界中を飛び回り
好みによってホテルやテントの中で眠った
どんな国に居ようとも 食べるものは何でもあった
インド料理でもインディアン料理でも 棚やレストランの中に
 
Ob Samsung oder iphone, ob Rennrad oder Tesla – 
alles auf Kredit zu null Prozent bei jedem Händler. 
Die Natur war Untertan, kein Tier war mehr sicher. 
Der Dschungel war besiegt und wir waren die Gewinner. 
 
サムソンやアイフォン もしくはロードバイクやテスラ
全てのものは利子なしで 今すぐにでも手に入れることができた
自然は家来となり 動物達にもはや安全な場所はなくなった
ジャングルは敗北し 僕達は勝者だった
 

第4パート:未来

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画像引用:公式Facebook
今回のプロジェクトで紅一点のSarah Lesch(サラ・ラッシュ)は、曲の最後のパートを担当しています。
 
サラはYouTubeでは1万4千人以上、Facebookでは7万人以上のフォロワーを持つ有名なドイツ人女性シンガーです。
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画像引用:YouTube
 
曲の最後となる第4パートは、非常に短いですが女性らしい繊細さで未来に起こるかもしれないことへの憂いが描かれています。
 
最初の章では現在について、次の章では未来への暗示が表されています。
 
♦♦♦♦♦
Die Luft war aus Blüten und Zuckerstaub, 
das bisschen Gold fiel nicht mehr ins Gewicht, 
die Früchte des Reichtums fielen nicht weit vom Stamm 
und zogen gegen das Volk vor Gericht. 
 
空気は花と砂糖のちりを含んでいた
少しばかりのお金は もはや重要な問題ではなかった
富の果物は 幹から離れた所には落ちなかったが
そのことが 人々に対する裁きを引きよせた
 
Bald hatten sie uns alles abgeschwatzt, 
verhökert und aberkannt, 
dabei hattest du für dein Glück nie mehr benötigt 
als das Licht und die Luft und ein bisschen Land.
 
まもなく 彼らは私達からすべてを手に入れてしまった
売り飛ばし 剥奪してしまった
君は これ以上の幸運など必要としていなかったのに
光と空気と 少しの土地以外には
 

まとめ

今回の記事では
ドイツ人アーティスト4人による新しい音楽プロジェクト「ヨーロッパ」 について書きました。
 
アーティストが集まり訴えたいことを楽曲に乗せて届けるというスタイルは、かの有名な「We are the World」に近いものを感じますね。
 
ヨーロッパでは現在、難民問題をはじめとする様々な問題に直面しています。
 
ドイツでも人種差別やヘイトといった風潮が世の中を脅かしていますが、そんな中で人間・私達はどうあるべきなのか という指針の1つを、この「ヨーロッパ」という楽曲は示してくれているのではないでしょうか。
 
そして今 君がどう感じているのかを教えてくれ
 
こんなにも多くの血が 君の指の間を流れたことについて
 
この無力を暴力という名前で呼ぶことが出来ないのなら
 
ヨーロッパ、君はどう感じる?
 
あなたは、どう感じますか?
 
 
おわり!