ドイツ人ストリートミュージシャンと結婚しました。

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映画「Leave No Trace(リーブ・ノー・トレース)」あらすじ・感想【ネタバレあり】

ベルリンを訪れている間、「Leave No Trace」というアメリカの映画を観ました。
 
残念ながら日本での公開はまだ未定だそうですが、せっかくなので今回の記事では
映画「Leave No Trace(リーブ・ノー・トレース)」のあらすじと感想 を書いていきます。

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画像引用:公式Facebook
 

あらすじ

↑「Leave No Trace」オフィシャル映像
 
戦争でPTSDを患った退役軍人のウィル(Ben Foster)とその13歳の娘トム(Thomasin McKenzie)は、オレゴン州ポートランドにある国立公園の森の中で孤立したキャンプ生活を送っていた。
 
街に出るのはウィルが病院に行く時と、買い物をする時だけ。
ウィルは病院でもらうPTSD用の鎮痛剤を売って生計を立てていた。
 
木々の中に隠れるように設置されたキャンプには雨をしのぐためのビニールシートが張られ、そこには机と椅子とベーシックなキッチン道具があり、親子は狭いテントの中で寝泊りをしていた。
 
彼らのキャンプには小さいながら畑があり、その他の食料は森に生えているキノコや野草で賄い、水は雨水を貯めて使用していた。火は原始的に手でおこす。
 
そんな森の中の生活で、父ウィルは娘に「足跡を残さない(Leave No Trace)方法」を教える。
 
ある日トムが森の中で本を読んでいると、ランニングをしていた人にその姿を見られてしまう。
その人の通報により、彼らのキャンプは警察と警察犬によって発見されてしまった。
 
2人は州の保護機関に連行され、そこで一通りの検査や能力テストを受けた後に家と職を与えられる。
 
クリスマスツリー用の木を育てる農場で働き始めるウィル。
トムはその間、近所に住む同年代の男の子に連れられ「4H」と呼ばれる農業者向けのクラブに参加し、ウサギの扱い方を習う。
 
保護機関で働く女性からトムの学校入学のための書類を渡されるが、ウィルはどこか浮かない顔。
 
娘のトムは周りに人のいる生活を気に入っていたが、父のウィルはそれに耐えられずトムを連れて再び森へと戻っていく。
 
2人はバスとヒッチハイクを利用し深い森へと辿り着き森の中へと入っていくが、迷子になってしまう。
寒さと夜の闇にトムは疲れ果ててしまい、落ち葉や枝を集めた即席のテントの中で一晩を過ごす。
 
無事に夜を明かすことが出来た2人は森の中を彷徨い続け、今は人の住んでいない小屋に辿り着く。
鍵をこじ開け中に入り、暖炉に火を灯してそこにあった缶詰で食事を取る。
 
翌日(または数日後)、ウィルは食料を調達するために小屋を発つが、一晩経っても戻って来なかった。
 
心配したトムが周囲を探し回ると、谷底で傷付き横たわった父を発見する。
トムが助けを呼びに行き、ウィルは近くにあったキャンプコミュニティに運ばれる。
 
助けてくれた人の1人がウィルを病院に連れて行こうとするが、トムはそれを止める。
仕方なく彼女は友人で元軍医の男性に連絡を取り、彼がウィルを診察する。
 
足を負傷して上手く歩けないウィルの傷が治るまで、キャンプコミュニティにあるキャンパーの1つに滞在することになる。
 
トムはこのコミュニティが気に入りここに長く住むことを望むが、ウィルは再びトムを連れ森の中へ入っていこうとする。
 
途中までは一緒に行ったトムだが、彼女は結局森に入って行く父を残し、キャンプコミュニティに残ることを選択する。
 

感想

まず疑問に思ったのは、「なぜ父のウィルはそこまで森の中で暮らすことに執着するのか?」ということ。
 
戦争で負ったPTSDという心の傷がウィルをそうさせているということですが
それでもウィルがなぜそこまで人と一緒にいることを拒むのか、そしてそれがなぜ人里離れた森の中で暮らすということになるのかという点が不明でした。
 
物語のポイントは「父と娘」という点だと思うのでウィルがなにを考えているのかは大きな問題ではないのかもしれませんが、、、。
 
ウィルが人のいる環境で苦しんでいるような描写はありましたが、それでも父と娘の心の動きを読んでいくのが物語での重要な点だったので、作中でもう少し説明が欲しいところではありました。
 
特に通常の人であれば娘トムのように「人がいるところで生活したい」と考えるのが普通なので、その点でも父であるウィルの行動原理が分からないのが残念でした。
 
 
そして個人的には自分と娘トムとの間に共通点を感じ、その辛さを共感せずにはいられませんでした。
 
もちろん私は森で育ったわけでもなんでもありませんが
それでも自然の中を好み、人の説得をあまり受け付けない旦那がウィルと重なって見えてしまって、、、。
(このことを旦那に言ったら、普通に怒られました、、、。)
 
娘のトムは13歳ですが、この歳で違った考え方を持つ父と離れる選択をしたと思うと、、、本当にすごい。
 

「はじまりへの旅」との比較

「森の中でワイルドに暮らす親子」というプロットは、以前観た「はじまりへの旅」(原題:Captain Fantastic)にとても似ていると感じました。
森の中で暮らすことを望む父親に子どもが反発するという流れも、今作「Leave No Trace」と「はじまりへの旅」の共通点です。
 
森の中で父親からの教育でのみで育った子どもが(なぜか)他の子どもより頭が良かったりすることも、また最終的に父と子どもが違った道を歩み出す所も非常によく似ています。
(「はじまりへの旅」では父から巣立ったのは既に10代後半の長男だけだったし、その別れ方ももっと円満なものではありましたが。)
 
あらすじが似ているこの2つの作品ですが、異なる点と言えばずばり
「父が子どもに寄り添おうとしたかどうか」。
 
子どもが親の言うこと・やることに従うのは自然なことですが、森の中という普通ではない生活の中で親がどれだけ子どもの考えを尊重しようとしたかが、この2つの映画の似て非なる点です。
 
「はじまりへの旅」でも最初は父のやり方に子どもを従わせるだけでしたが、自分のやり方で娘に大怪我を負わせてしまったことにより、父ベンは最終的には子どもを裕福な祖父母に預けて自分は立ち去る決断を下しました。(結局、子どもたちは父の元に帰ってきますが。)
 
映画の最後では森での生活を諦め、子どもたちを学校に通わせるために人里で暮らすような描写もあります。
 
一方「Leave No Trace」では、父ウィルは結局1度たりとも娘の要望に耳を傾けることはありませんでした。
 
どんな環境下であれ、親が自分の思う最適な環境に子どもを置くのは当然っちゃー当然ですが、それでも子どもがイヤということを無理にやらせるのもどうかと、、、。
 
「はじまりへの旅」と「Leave No Trace」どちらに出てくるお父さんも自分の考えに固執する頑固者ではありますが、子どもの意見を聞いてあげたらウィルとトムにも違った未来が待っていたのかも、、、?
 

この話はハッピーエンドなのか?

「Leave No Trace」を観終わった後、私は「この父親はなんてワガママなんだろう!」 と思いました。
 
娘トムがどんな風に暮したいかを無視し、自分の道を貫き通そうとしたからです。
 
そこにPTSDという病気の介入があったとしても、親のやり方を一方的に子どもに押し付けるのには賛成できません。
 
13歳の女の子が、この世にたった1人の親を"捨てる"ことがどれだけ辛かったか。
 
それがウィルには分かっていないようだったし、分かっていたとしても結局彼は娘を"捨てた"わけですから、酷い父親だと言わざるを得ません。
 
ただ、旦那にそのことを話したら「自分はそうは思わない」という答えが返ってきました。
 
理由を聞くと
「ウィルもトムも結局自分のしたいことの為にお互いを"捨てる"結論を出したのだから、これはこれでハッピーエンドだ」 と。
 
うーん、そういうもんかね、、、。
子どもと親っていう立場の違いもあるしなぁ。
 
家族を捨ててまで自分のしたいことを優先した2人は、その後一体どうなったのか。
 
ウィルとトムのその後は、残念ながら映画には描かれていませんが
どちらにしてもウィルとトムが行った選択を、人は「勇気」と呼ぶのかもしれません。
(き、決まった、、、!)
 

まとめ

今回の記事では
映画「Leave No Trace」のあらすじ・感想 を書きました。
 
冒頭でも書いた通り、この映画はまだ日本で公開される予定はありません。
 
トリッキーな映画ではあるし、そもそも退役軍人のPTSDの問題も日本ではあまり話題にならないのでもしかしたら日本で公開されることはないかも、、、。
 
「はじまりへの旅」と違って、全体的に暗くて笑えるような場面もないし。

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画像引用:公式Facebook
娘トム役のThomasin McKenzieはめちゃくちゃカワイイんですけどね。
 
ただ「森の中でしか暮らせない父」vs「普通の生活がしたい娘」という構図は、ワイルドヒッピーな旦那を持つ私にとっては非常に興味深くはありました。
 
というかトムに同情するあまり、映画を観た後は若干センチメンタルな気持ちになってしまいました、、、(´;ω;`)
 
 
微笑ましい系のワイルド家族を描いた映画「はじまりへの旅」
 
↓映画「Leave No Trace」の元となった本「My Abandonment」
 
おわり!