ブログを書き始めて、一度はやってみたかった事。
それは、映画のレビュー。
映画のレビューは初めてですが
「自分が感じたことを文章にする」練習として、書いてみます。
※以前のこの記事のタイトルは「日本で公開予定のない映画のレビュー」でしたが
2017年5月12日に日本でも公開となったので、タイトルを変更しました。
私は英語版のものを観たので、そのレビューとなります。
ハンブルグ映画祭に行ってきました
私の住んでいる街、ドイツのハンブルグで「ハンブルグ映画祭」が行われていました。
「ドイツ統一の日」という祝日である2016年10月3日に、友達に連れられてこの映画祭のラインナップの1つである「Personal Shopper」を観てきました。
フランス人監督オリヴィエ・アサイヤスとクリステン・スチュワートがタックを組んだこの映画は、全編英語で展開されていました。(ちょっとだけフランス語も)
監督はそこまで知られていませんが、主演女優クリステン・スチュワートは今グイグイ来ている女優さんです。
引用:映画『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』オフィシャルサイト
© 映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2
この方です。
トワイライトシリーズで一躍有名になりました。
映画を見た後に知ったんですが
この映画は、2016年のカンヌ映画祭で批評家からはブーイングの嵐だったそうです。
一方、一般客からはスタンディングオベーションが起こったりと、賛否両論ある作品のようです。
あらすじ
霊感を持ったアメリカ人のヒロインMaureen(クリステン・スチュワート)は、パリで亡くなった双子の弟の霊と交信するため、オマーンに住む彼氏と離れて1人パリに住んでいます。
弟の霊からの「サイン」を探し求めながらも、普段はお金のためにパーソナルショッパーとして働く彼女。
ヒロインが双子の弟の霊と交信することによって、彼の死を乗り越え、自らが進むべき道を模索しようとする、、、というお話です。
パリのファッション界を舞台にした、ゴースト映画です。
詳細なあらすじ(ネタバレあり)
ここから先はネタバレありです。
ケータイに謎のメッセージ
仕事でロンドンに向かう電車の中で、ヒロインのケータイに誰からか分からないメッセージが届きます。
彼女の行動を随時言い当てるそのメッセージが、亡くなった双子の弟からのものではないかという疑いをぬぐい切れません。
送信主の分からないメッセージに、彼女は怖がりながらもハマっていきます。
誰かも分からない相手と、ケータイでやり取りを続けるヒロイン。
ヒロインが心に抱える恐怖を問うそのメッセージに触発され、普段は店で受け取って届けるだけの高級な衣装や宝石を、雇い主であるセレブの部屋でこっそり着てみたり、それを着たまま1人ベットで致したり、自分の変身願望を開花させていきます。
殺人事件
そうこうしているうちに、パリでの雇い主であるセレブが、何者かによって殺害される事件が起き、ヒロインがその第一発見者となります。
犯人は、殺されたヒロインの雇い主のセレブKyraの彼氏であったIngoの仕業なんですが、同時にIngoはヒロインにSMSを送り続ける犯人でもありました。
最後:彼氏のいるオマーンへと旅立つヒロイン
セレブKyraの殺人事件の真相が明らかになった後、ヒロインはようやくパリを離れ、彼氏の住んでいるオマーンへ旅立ちます。
最後はオマーンで、弟の霊と交信するようなシーンで、この映画は終わります。
感想
ヒロインの陰気な雰囲気が良かった
物語はヒロイン、クリステン・スチュワートを中心に進むのですが、彼女は劇中ほとんど笑顔を見せません。見せたとしても、ニヒルな笑いのみ。
パーソナルショッパーとして華やかなお店できらびやかなドレスや装飾品に囲まれた中での彼女の存在感は、とても魅力的でした。
多くのブランド店にスクーターで向かう彼女は、いつもダボダボのセーターにジーンズ、そしてスニーカー。 洗いざらいのショートヘアーに、すっぴん。
最初は違和感を覚えましたが、彼女の性格をよく表している演出だと思いました。
ホラー映画の要素は必要だったのか
弟の霊が出るとされる、弟が生前住んでいた館(これがめちゃくちゃデカい)で、ヒロインが弟の霊と交信を試みる所からスタートするこの映画。
雰囲気は、完全にホラー映画そのものです。
弟の霊からの「サイン」を求めて、その館で1晩1人で過ごすヒロイン。
結局、そこでは特にサインは見つからなかったんですが、その豪邸で2度目の夜を過ごすシーンが、この映画の一番怖い場面でした。
突然蛇口から水が出たり
映像技術を駆使して作られたと思われる霊が登場したり。
そして恐怖に泣き叫ぶヒロイン。
しかも結局、その豪邸でヒロインが見たのは弟の霊ではなく、女性の霊。
あれだけホラーな見せ場を作っておきながら、弟、関係なかった、、、。
この女性の霊の正体も、結局分からず。
ゴースト映画だからといって、この映画の展開にこのホラー要素は必要だったのか?と、観終わってから少し疑問に感じました。
結局、なぜヒロインはパーソナルショッパーなのか?
この映画のタイトル「Personal Shopper」は、言わずもがな、ヒロインのパリでの職業のことを指しています。
パリのファッション界を舞台にした、ゴースト映画。
このミックスは、とてもおもしろ発想だと思います。
ただ、なぜこの名前がタイトルとして選ばれたのか、私には分かりませんでした。
ヒロインが、一番求めてたもの。
嫌いな仕事をしながらパリに滞在していた理由。
それは、双子の弟の霊と交信すること。
双子の弟の霊と交信するために、パリに縛られていたヒロイン。
しかし、ヒロインは結局パリでは弟の霊と交信することはできませんでした。
つまりヒロインのパリ滞在は、何の成果も上がらなかったということになるでしょう。
そして、双子の弟の霊と交信することと、彼女の職業であったパーソナルショッパーとの間に関連性を見つけることができませんでした。
そもそも関連性なんかない、と言われてしまえばそれまでですが、、、。
でもヒロインは、弟の霊と交信するためにパリに居たんだよね?
その流れから行くと、話の大筋とタイトルがずれているのかな?とは思いました。
お金の為だけの仕事?
この仕事はあくまでお金のためであり、仕事自体は楽しくないとヒロインは断言しています。
あっちの店にドレスを取りに行き、こっちの店には高価なジュエリーを取りに行く。そして、雇い主であるセレブKyraの家まで届けるという仕事。
主人公は嫌がっている、このパーソナルショッパーという仕事。
確かにヒロインはセレブにパシリのようにこき使われていますが、そこまで嫌がる仕事なのか?ということには疑問を感じました。
普段なら見ることもない高級ブランドの服やアクセサリーを扱うパーソナルショッパーという仕事は、そう簡単に勤まる職業とも思えません。
実際の仕事はパシリに近いのかもしれませんが、それでも女の子なら憧れる人がいてもおかしくないような職業。
この仕事を「お金のため」と片づけてしまうのは、ちょっと無理があるかな?と感じました。
謎のメッセージは結局何を意図していたのか
ヒロインのケータイに送られたメッセージは結局弟からではなく、ヒロインにストーカーまがいの執着心を寄せていた男でした。
このメッセージの映画内での位置づけを、私なりに考えてみました。
ヒロインはこの謎のメッセージによって自分の内側と向き合っているのだ、という解釈ができると思います。
それはヒロインが普段より秘めてた感情、変わりたい、他の誰かの様になりたいということを劇中で開花させるきっかけになるわけですが、ヒロインが追い求めていた双子の弟の霊よりは、最終的にはこちらのメッセージの存在感の方が大きくなっていたと思います。
弟の霊の存在感が、ますます薄れていく、、、。
とは言っても、このメッセージの描き方はとてもおもしろかった。
Lineを思い浮かべてもらえば分かると思いますが、誰かとチャットのようなやりとりをしている時の、相手の返事を待っているあのわずかな時間。
相手はどう返信してくるんだろうか?と返事を待っているあの間の描き方が、とても上手かった。
ヒロインを、今いる枠の中から一歩外に引きずり出したこのメッセージのやりとり。
興味深くはありましたが、このメッセージと弟の霊との関連性も、分からぬまま。
関連性ばかり求めるもの良くないかもしれませんが、関連性が分からない故、映画の根本である部分がぼやけてしまったように感じました。
殺人は、なぜ起こったのか。事件がヒロインに及ぼした影響とは?
話は終盤に入り、ヒロインの雇い主であるセレブが自宅で殺害される事件が起きます。
この事件が起きる前夜、ヒロインはこの雇用主の家に無断で泊まって、服やらアクセサリーやらをこっそり着て満足する、というシーンがあるのですが、遺体の第一発見者でもあるヒロインは当然警察に疑われます。
この事件が、例えば悪いと思っていながらセレブの持ち物を勝手に着たり、雇用主のベットで1人でしたことに関しての弟からのサインだったとしたら、話は通じなくもないんですが、、、そういうわけでもない。
結局雇い主が亡くなったから、ヒロインは彼氏のいるオマーンに行くのか?という印象を受けてしまいました。多そうゆう印象を与えたかった訳ではないだろうし、その上、弟の霊、全然関係なくなっちゃった。
ちょくちょく出てくるヒロインのトップレス
病院で診察を受けるシーンや、ヒロインが雇い主のセレブの服を勝手に着てみる時、彼女はいつもトップレスになってました。上半身はもはやもろ出し。
ヒロインはとても綺麗だし見応えはあったんですが、、、そこ脱ぐ必要あった?と思わざるを得ませんでした。
ヒロインは、双子の弟の死を乗り越えられたのか?
最後の方で、パリを離れる決心をしたヒロインに、オマーンにいる彼氏(Gary)がスカイプ越しに言った一言が印象的でした。
「結局、死んでしまったらそれで終わりなんだよ。」
この発言は、今までヒロインが弟の霊と交信しようとしていた努力をすべて打ち砕くものです。
やっぱり、パリに滞在して弟の霊と交信しようと試みたのは無駄骨だったのか、、、?
最後パリを離れて彼氏のいるオマーンに旅立った所を見ると、双子の弟の死からは立ち直ったようにみえるヒロイン。
そして辿り着いたオマーンの地で、弟の霊(らしきもの)のサインを目の当たりのすることになります。
そのサインを見たヒロインが、その霊との交信を試みます。
ノック1回は、はい。
ノック2回は、いいえ。
「あなたは私の弟なの?」
「あなたは今、幸せ?」
答えはどちらも、ノック1回で「はい」。(というか、ヒロインの居た家が1回揺れた)
「あなたは私の弟じゃないの?」
「私をからかっているの?」
この答えも、ノック1回で「はい」。
ん?
結局それが本当に弟の霊だったのか、最後まで分からずじまい。
弟の霊との交信を諦めてやってきたオマーンで、弟の霊(たぶん)と交信できたことも、なぜオマーンでは交信できたのか?なぜあれだけ頑張っていたパリではダメだったのか? という疑問や、結局弟の霊と交信することによって何が得られたのか?というような質問が、頭の中に浮かびました。
そんな「?」のまま、映画はエンドロールへ。
結局弟の霊は、ヒロインを動かすモチベーションでしかなかったのか?
双子の弟という設定ですが、そのへんの深い話も特になく。
弟の死を乗り越えられたかどうかもなんだかうやむやなままだし、弟の霊の使い方がもったいない感じがしました。
映画後の試写会について
ハンブルグ映画祭での上演の際には、監督のオリヴィエ・アサイヤスと、Ingo役のドイツ人俳優が来ていました。
パーソナルショッパーという華やかな職業を「お金のために」いやいややっているという設定がよく分からなかったのですが
監督の話を聞いた所によると「物質的な世界と、この世ではない別の世界について」を書きたかったんだそうな。
うーん、なるほど。
物質的な世界とは「パーソナルショッパー」 の世界であり、「この世ではない別の世界」というのは霊の世界。
そういった価値観は非常におもしろいと感じましたが、上映中にそれを感じることができなかったのが非常に残念でした。
ちなみに:フランス人監督に厳しいドイツ人の観客にウンザリ
「映画を観終わった後に、監督からお話を伺います~」の宣言が上映前にあったにもかかわらず、上映後3分の1ほどの観客が席を立っていたのには驚きました。
その後観客からの質問を受け付けるコーナーがあったんですが、その中で1人の観客が
「劇中にはiPhoneやMacのラップトップが写るシーンがかなりありましたが、それはアップルとしてはどうなんですか?」みたいな質問をしていて
(え、、、そんなこと普通聞くか、、、?)
ってなりました。
そりゃ、広告料もらってやってるでしょ、、、。
あんだけスクリーンにリンゴのマーク出てたんだから、、、。
ドイツ人のフランス人(監督)に対する厳しさに、ちょっと嫌気がさしました。
まとめ
感想をまとめると
話に一貫性がなく、結局なにが言いたかったのかよく分かりませんでした。
はい。
何のメッセージ性も持たない映画というのは実際存在するし、別に何のメッセージ性も考慮されてないのかな?とは思ってみたものの、、、そういうナンセンスな類の映画でもなかったので、余計に混乱しました。
コンセプトはおもしろいのに、、、ただただ残念。
最後に:レビューを書いてみた感想
えーっと。
なんだか全くうまくまとまりませんでした(爆)
映画のレビューって、書くの難しいですね、、、。
なんだかんだでこの記事を書くのに2日もかかってしまったし、
サクっと書くつもりが、文字の量も6000字越え。
初めてのレビューと言うことで、ご勘弁を。
とにかくこの映画はクリステン・スチュワートが魅力的なので、ヒロインの魅力に引き込まれてみてください!(ポロリもあるよ!)
おわり!