先日、ドイツに住むニュージーランド人の友達が家に遊びに来ました。
旦那との共通の友人なんですが
学生時代にNZで知り合い、その後どちらも地球の反対側・ドイツに住み始めるというなんとも不思議な偶然っぷり。
そんなNZ人の友達がとても面白い動画 を教えてくれたので紹介します。
ドイツとNZ間のカルチャーショックを描いた動画『Lifeswap』
画像引用:YouTube
今回紹介する『Lifeswap(ライフ・スワップ=生活の取り替えっこ)』 は
ドイツの国際文化交流機関「ゲーテ・インスティトュート(Göhte Institut)」が作ったショートアニメーション動画のシリーズです。
2019年9月現在、全部で11話が公開されています。
国際交流の目的で作られた動画なので、もちろん無料。
画像引用:YouTube
主人公は、ドイツ・ミュンスター出身のJörg(イェルク・左)と
ニュージーランド・ウェリントン出身のDuncan(ダンカン・右)。
画像引用:YouTube
この2人が、留学生としてお互いの生活を取り替えっこ。
それぞれが別の国で受けるカルチャーショックを、スカイプで報告し合う という形で話が進んでいきます。
画像引用:YouTube
、、、私達日本人にとっては「ドイツもNZも文化的にはそんなに変わらないんじゃないの!?」という感じですが
動画を観ると同じ白人・キリスト教文化と言えど結構な違いがあって非常に面白い。
ドイツとNZって、実は地理的にほぼ地球の裏側に位置してるんですよね。
その地理的な距離もあってか、2人が受けるカルチャー・ショックが妙に笑いを誘います。
また1話が2〜7分で完結するのも、観やすくてイイ感じ。
私は現在、在独8年目。
学生時代は1年間NZに留学した経験があり、旦那はドイツとNZの二重国籍者。
ドイツとNZ、2つの国の文化をよく知っているので「分かるわ〜!」と納得することも多いのですが
どちらか1つの文化しか知らない、またはどちらの国もよく知らない人でも普通に楽しめる動画に仕上がっています。
動画はすべて英語と、時々ドイツ語ですが
ドイツ語の所には英語で字幕が入るので、英語が分かれば楽しく観ることが出来ますよ。
動画『Lifeswap』
以下からは、現在公開されているエピソード11までの各動画を簡単な解説と共に紹介していきます。
ぜひ注目してほしい動画全体の見所としては:
-
NZ人ダンカンの「Jörk」の呼び方
ドイツ人の彼の名前はJörkといい、日本語発音だと「イェルク」、ドイツ語だと「ヤーク」に近い発音になります。
(ドイツ語で「J」は「ヨット」、「ö」は「o」の口で「e」と発音するため。)
、、、が。
英語だとJörkの発音が「Jork=嫌な奴」または「Jerk=まぬけ」に聞こえる という、、、(笑)
-
イェルクのドイツ語英語
ダンカンのドイツ語も英語訛りですが、イェルクの英語のドイツ語訛りがとにかくすごい(笑)
集中して聞かないと何言ってるのか分かんなくなる程、、、。
-
ダンカンが着ているTシャツ
Episode 2以降は、動画内でダンカンが着ているTシャツにも注目!
前のエピソードで取り上げられた話題が、そのままTシャツになってます(笑)
Episode 1: Complete Rubbish(完璧なゴミ分別)
NZ人のダンカンが、ドイツのルームシェア先での『Mülltrennung(ミュル・トレヌング=ゴミの分別)』にまつわる失敗について話しています。
日本にもゴミ分別に対する細かいルールがありますが
ドイツもゴミ分別にはとても厳しいです。
分別方法は州によって若干異なりますが、基本的には動画内のように:
-
古紙
-
プラスチック容器
-
特別なゴミ
-
その他のゴミ
-
瓶・ガラス(緑、透明、茶色など色で分別)
-
生ゴミ
、、、と、細かく分別しなくてはいけません。
一方ニュージーランドは地域にもよると思いますが、ゴミ分別はかなり適当ユルいです。
私が住んでいた頃は、2種類(リサイクル出来るか出来ないか)くらいしか分別方法がなかったような、、、。
ダンカンがドイツのゴミ分別に驚くのも無理はないですね。
またドイツにはその他にも
-
Pfand(プファント=デポジット)
というシステムがあります。
これは飲み終わったペットボトルやビン・カンを店に持っていくとお金が帰ってくる という、リサイクルのシステム。
1つの容器のデポジット額は大体8〜25セント(約9〜30円)と安いのですが
これもまさに『塵も積もれば山となる。』
25セントの容器4つで1ユーロ(=約120円)ですからね。
結構バカにできない金額になります。
ただしすべての空容器がPfandの対象になるわけではないのが、若干ややこしい所。
Episode 2: The Tea Towel Stinks(このフキン、臭い!)
ドイツ人イェルクがNZで遭遇したカルチャーショックについて、ダンカンが説明しています。
動画の内容は
『思ったことは何でも口にしてしまうドイツ人』VS『問題について話し合わないNZ人』 といった感じでしょうか。
人の家で皿洗いを手伝っている時に、フキンが臭かったらどうするか?
ダンカンはイェルクに
-
何も言うな
-
もし言わなければいけない場合は、フキンとは関係ないフレンドリーな話題から始めろ
-
問題については言及しない
-
もししなければいけない場合は、「POSSIBLY」や「MIGHT」「WOULD YOU MIND IF」などのいわゆる『クッション言葉』を使う
-
文の終わりに声のトーンを上げる
、、、というやり方を教えます。
言いたいことは直接はっきりと言う国の人・イェルクは「なぜこんなにややこしいんだ!」と困惑していますが、、、。
NZには確かに、『問題について話合わない』 という隠れたルールがあるようです。
でもこれって、日本人である私達には共感できる事ではないでしょうか。
つまり
「フキンが臭いと言うと相手が傷つくのではないか」と言う点を考慮して、回りくど言い方をする(もしくはその点には全く触れない) という。
またイェルクがスカイプを終わらせる時、何のためらいもなく「もう行くわ」って言い切るところがいかにもドイツ人っぽいです(笑)
Episode 3: The Winter Deniers(冬を拒む者たち)
NZって緑豊かで暖かなイメージがありますが
特に南は、南極からの風がビュービュー吹いてて冬はめちゃ寒いんですよね。
(NZは南半球にあるので南の方が寒い。)
そして確かに
NZの家は寒さに弱い。
以前私はNZの南島の南の果てに1年間留学していたんですが
その時に住んでいた家も、壁はコンクリートのみ。
間に断熱材も何も入ってないので、冬は死ぬほど寒かったです。
その家には素敵な暖炉があったので冬場は使ってたんですが、家の中で火を焚いても熱が逃げちゃって全く暖かくならないという。
夏には最高な家だったんですけどね、、、。
もちろん北国であるドイツの冬もめちゃくちゃ寒いんですが
ドイツの家は寒さに対して本当にしっかりと出来ているので、家にいてセントラルヒーティングを使っていれば全く寒くはないです。
(でもだからって、セントラル・ヒーティングの写真を見てホームシックを募らせるイェルクはちょっとどうかと、、、w)
今回の動画のタイトル「冬を拒む者」というのは、冬でもランニングシャツ+短パンという装いのアンジーのおじギャリーのことなんですが
確かにNZには冬でも「えっ寒くないの、、、?」ってツッコミたくなるような薄着の人が多かったような。
、、、でもこういう人って、日本にも居ますよね。
ていうか、クラスに1人はいませんでした?
冬なのに半袖半ズボンの子。
、、、そういうことなのかな?
Episode4: Change! Urine Stinks AKA Change your Instincts
まず面白いのが
動画のはじめにイェルクが、ダンカンの言ったことの本当の意味を表を見ながら読み取ってる所。
表によると“Yeah yeah yeah... nah, everything is great, thanks.”は
NZでは“Help me! I’m in trouble!”という意味らしい。
これは非常に紛らわしい、、、!
さて、エピソード4のメインの内容は
「男性もおしっこする時はトイレに座れ!」という、最近は日本でもメジャーになってきた考え方について。
実際にNZの男性がおしっこの際トイレに座るのをためらっているかどうかは知りませんが、、、
トイレ掃除する側からすれば、男性にも座っておしっこしてほしいとは思いますよね。
そういえば以前ドイツで、男だらけのルームシェアのトイレに
「SIT DOWN OR I CUT YOUR BANANA(座れ!さもなくばお前のバナナをちょん切るぞ!)」
、、、と書かれたポストカードが飾られてたので、イェルクが言う通り「Sitztpinkeln(ズィッツ・ピンケルン=座っておしっこをする)」の考え方はドイツでは一般的なのかもしれません。
ちなみに
ダンカンが動画内で説明している通り、ドイツのサウナは基本的に男女混合 で、しかもみんな裸で入らなくてはいけません。
(女性専用の日なども、もちろんありますが。)
NZでは人前で裸になるなんてあり得ないことなのですが
ドイツにはFKK(裸体主義)という考え方があり、サウナ=裸というのもとても一般的なのです。
Episode 5: Yule Love It Christmas Special (君も気に入ると思うよ、クリスマス・スペシャル)
イェルクがまたホームシックになってます。
理由は、クリスマス。
確かにドイツにおいてのクリスマスはとても特別 で、それにちなんだ文化も沢山あります。
動画内で紹介されているGlühwein(グリュー・ヴァイン=ホットワイン)や、Adventskranz(アドヴェンツ・クランツ=待降節のリース)など。
あと、ダンカンがハネスにプレゼントしようとしてたコレとか。
↑クリスマス・ピラミッドというドイツの伝統的な工芸品なんですが、年配の方の家には大体あります。
一方NZのクリスマスは夏ということもあり、イェルクには少々物足りない様子。
ちなみに
私はドイツに8年住んでいますが、赤ちゃんサンタクロースがプレゼントを届けるという話は聞いたことないなぁ、、、。
「サンタクロース」というのはアメリカの文化で、ドイツ文化にはサンタクロースの概念はないものと思ってました。
(12月6日にサンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスを祝う習慣はありますが。)
あ、あと。
動画内に出てきたNZのスイーツ「パブロバ」。
画像引用:YouTube
私はすごく苦手です、、、(汗)
卵白のケーキなんでが、やたらと甘くて、、、。
Episode 6: Just Sharon(シャーロンって呼んで!)
動画のはじめにイェルクがもらったと紹介している『ポウナム』とは
グリーンストーン(ジェイド)で作られたマオリ族のネックレスです。
NZでは非常に有名なもので、みんなかなりの確率で持ってる/身に付けてます。
↑写真は、旦那にもらった私のポウナム。マオリの彫刻がしてあってカワイイ。
そしてプレゼントの理由となった「変なヌテラ」とは、NZではおなじみの「マーマイト」ですね(笑)
↑ヌテラ(Nutella)は、甘いチョコ味のヘーゼルナッツ・ペースト。
↑一方マーマイト(Marmite)とは、ビールの酒粕を主原料としためちゃくちゃしょっぱいペーストです。
イェルク、ヌテラとマーマイト間違えて食べたんか、、、(笑)
これは大惨事の予感。
さて
エピソード6のメインの話は初めて会った人への接し方 について。
ドイツ人は基本的に初めて会う人に笑いかけたり、不要な雑談をしたりはしません。
もちろん、初めて会った年上の人にくだけた言い方である「Du」も使いません。
一方、NZ人は初対面の人にもかなりフレンドリー。
イェルクが言う通り、どちらが良いというわけではなく『文化の違い』ということなのでしょう。
(個人的には、NZ人の対応の方がよっぽど好感を持てますが、、、!)
Episode 7: Making a Funny Party(楽しいパーティーにしよう)
イェルクが動画の最初に説明している、ドイツ語の『Na?』という単語。
これ、ドイツではかなり頻繁に使われます。
『元気?』くらいの意味の言葉なんですが、ただし
『Na?』に対する答えは「Na.」のみ。
ドイツに来たばかりの頃、『Na?』に対し「私は元気です。あなたは?」って答えたら変な顔された経験が、、、。
そして、こちらも動画の冒頭で話されている「水」について。
日本では某有名シェフの店で水がべらぼうに高く売られていることが問題になった事がありますが
ドイツではレストランなどで水にお金を払うのは普通のこと。
ダンカンのように水道水を頼むのは、どちらかというと失礼な行為にあたります。
日本でも水は無料でもらえるものなので、なんだか違和感がありますよね、、、。
さて、エピソード7のメインの内容はまたしても
「直接的なドイツ人」vs「間接的なNZ人」について。
「夕食においでよ!」と言われたら
「来週の日曜日なら空いてるよ!」と言うのがドイツ人。
一方
NZでの夕食の招待は、実は招待ではなく「あなたいい感じね!」くらいの意味 だとか。
日本人としてはまぁ、NZ人の理屈は分からなくもないんですが、、、
直接的なドイツ人にとっては、理解するのは難しいだろうな。
ドイツ人である旦那は7年間NZに住んでたんですが
動画を観てウンウン頷きながら「NZ人ってこういうとこあるから難しい、、、」って言ってました。
また、動画の最後にダンカンが「ポットラックパーティーに時間通りに行っちゃダメだよ!」と忠告してますが
NZ人はホント、パーティーに時間通りに来ない。
以前NZで私の誕生日パーティーを開催した事があるんですが
最初の人が来たのは、待ち合わせからなんと2時間後。
あれはカルチャーショックだったなぁ、、、。
Episode 8: Sonntag(日曜日)
エピソード8の動画では
イェルクがドイツに一時帰国中、ダンカンに『ドイツでの正しい日曜日の過ごし方』 をレクチャーしています。
もちろん、ドイツ人にも様々な日曜日の過ごし方がありますが
『伝統的なよくある日曜日の過ごし方』は、動画で取り上げられた通り。
日曜日に大事なのは
朝ごはんと散歩。
↑旦那の実家での、ある日曜日の朝食。
ドイツの日曜日の朝ごはんは本当に豪華で、様々な種類のハムやチーズ、サーモンや果物などがズラッと並びます。
動画ではジャムなどのビンがそのまま食卓にのっていましたが
お母さんやお婆ちゃんがいる家庭だと、パンに塗るものもいちいち個別に皿にステキに盛り付けたりします。
その後は何をするかと言うと、散歩。
ドイツ人はとにかくSpazieren gehen(シュパツィーレン・ゲーエン)が大好き。
私は日本では散歩なんかしたことなかったので、ドイツに来たばっかりの頃はこの散歩文化にビックリした思い出が、、、。
で、散歩が終わったらコーヒーとケーキ。
これもドイツ人のデフォ中のデフォです。
特に年配の方がいる家庭では、こういった日曜日を過ごす人が多い印象です。
70を過ぎた旦那の両親なんか、ケーキ&コーヒータイムは日曜日だけでなく毎日あるし。
太るぞぉ、、、!
(ちなみに
サウナについては別に日曜日の伝統的ではない、、、と思います。)
また
動画の1番最後にイェルクがソファに座って言う『Tatort(タート・オルト=犯行現場)』とは、日曜夜8時15分から放送されるドイツ人が大好きな刑事ドラマシリーズです。
Episode 9: She’ll Be Right
ドイツからNZに戻る際、イェルクはオーストラリアに寄ったようです。
オーストラリアとニュージーランドはお隣さんですが、やっぱり全然違います。
自然の環境もそうだし、人の性格もかなり違います。
ちなみに
私が見たところによると、オーストラリアとNZはお互いにライバル心を持っているようです。
お互いをバカにしたりすることもありますが、、、
それも愛情の裏返し?
Episode 10: Group Effort(団体の努力)
エピソード10の内容は
「個人を尊重するドイツ人」vs「団体を尊重するNZ人」といったところでしょうか。
ドイツ人は確かに、イェルクがスピーチ内で行ったように自分がいかに素晴らしいかという個人の功績を自分で持ち上げる傾向 があります。
良くと悪くも『個人主義』が非常に強い。
一方ニュージーランドは人口の少ない国ということもあり
グループの中で突出しすぎない、というような団体中での協調性 が重要視されるようです。
そのため「自分がいかに素晴らしい人物であるか」をスピーチしたイェルクはクラスメイトから白い目で見られてしまったんですね。
この点については、日本人はNZ人に非常に近い考え方を持っていますよね。
『出る杭は打たれる』的な。
(日本の人口は、NZやドイツよりも多いけれども。)
ちなみに
今回の動画でイェルクが訪問した『マラエ』とは、マオリ・コミュニティの中心をなすマオリの集会所です。
歌ったり踊ったり、また夜は床でみんなで雑魚寝することも。
↑マラエ内での雑魚寝の様子。
Episode11: Germlish(German + English)
例えば「ペットボトル」や「オムライス」のような『和製英語』があるように
ドイツにも、英語っぽいけど英語ではない言葉『独製英語=Germlish』 があります。
悪いことにNZ人はとても親切なので、たとえイェルクが間違った独製英語を使っていても指摘してはくれないようで、、、。
ちなみに、動画の最後にダンカンが指摘していますが
ドイツ語で携帯電話の意味を持つ『Handy(ハンディ)』も、独製英語です。
ケータイがhandy(便利)なのは、まぁ間違いないですが、、、。
まとめ
というわけで、今回の記事では
ドイツとニュージーランド間のカルチャーショックを描いたショートアニメーション動画『Lifeswap』 を紹介しました。
動画内ではもちろんちょっと誇張して描かれていることもありますが、、、
でもドイツとNZ、どちらの文化に対しても若干の皮肉が効いていてクスッと笑えますよね。
この動画を作った「ゲーテ・インスティトュート」はただの語学学校かと思ってたんですが、まさかこんな活動もしてるとは驚きでした。
ゲーテは文化的なドイツ人を海外に送り出す活動なんかもしているらしいんですが
実は来年から、私達の友人(映画監督)がゲーテの援助を受け3ヶ月間京都に行くことになったそうで。
冬の京都めっちゃ寒そう、、、というのはさておき
いろんな活動をしているゲーテ・インスティトゥートに、今後もぜひ注目していきたい。
ところで、今回の記事とは関係ないんですが
京都に行く私達の友人が来年2020年の1月〜3月の間、家族4人(大人2人、子ども2人)で住める場所を探しているらしいので、何か情報があれば教えていただけるとありがたいです。
おわり!