「若者の海外離れ」というトピックを聞いたことがありますか?
私は昔からものすごく海外に興味があったのですが
最近の若者は行きたがらないみたいですね、海外。
今回は、海外(ドイツ)在住の立場から
若者の海外離れについて考えてみました。
「出たくないニャー。」
「若者の海外離れ」を肌で感じたきっかけ
まずこの記事を書こうと思ったきっかけから。
日本人の人手が足りない
現在私の働いているレストランではウェイトレスを募集しているんですが
全然応募が来ない。
ボス曰く、応募してくれる日本人の数は年々減少傾向なんだとか。
確かに、私がドイツで働き始めた5年前はそうでもなかったと思うんですが
年々応募が減ってきている印象はあります。
ドイツ人を採用してもいいんですが、職場は日本食レストラン。
言語力も大事ですが
日本食レストランに日本人が働いているというだけで、レストランの雰囲気がぐっと違います。
以前、この辺の記事にも書きました。↓
そして、日本人はとても働き者。
こう言っては何ですが
ドイツ人と比べると、仕事に関してセンスのある人が多いです。
統計を見てみると
こちらのサイトを参照しました。
1950年から現在に至るまでの統計を見てみると
20歳~29歳の若者が一番海外に行ったのは1996年。
年間約460万人が出国しています。
そこから若者の出国者数は減少の一途をたどり
去年、2015年の出国者数は約250万人。
出国者数がピークを迎えた1996年に比べ、去年はほぼ半分近くまで若者の出国者が減っています。
なぜなのか。
なぜ若者は、海外に行かないのか?
追記
若者の海外離れは、若者が減っているからだというご意見をいただきました。
その発想は、、、正直なかった(どーん)。
ブックマークで指摘してくださったみゆまっしーさん(id:miyumasi)
そしてコメントで指摘してくださったジェイケイさん(id:Virtuallnsanity)さん
どうもありがとうございます!
というわけで、若者の人口がどのくらい減っているのか、
そして比率はどのように変わるのかを比較してみました。
※若者(20~29歳)の人口・出国者数・出国者数の人口比
1996年:約1900万人(うち出国者数:約460万人、人口比約24%)
2015年:約1280万人(うち出国者数:約250万人、人口比約19%)
ここ20年ほどで、若者(20~29歳)は約620万人も減っているんですね、、、。
1996年は、約24%の若者が海外に行き、
2015年は、約19%の若者が海外に行ったということが分かります。
1996年の若者に比べて、2015年の若者は海外に行かない人が約5%多いということですね。
個人的には
人口の減りに比べて、出国者数の減少率は意外と少ないのかな?という印象を受けましたが、どうでしょうか。
「若者の海外離れ」を、ドイツ人と比較して考えてみる
ドイツ人は、大の旅行好き。
二言目には、休暇の話が出ます。
(ちなみに、一言目は天気の話。)
ヨーロッパ内の観光地ともなると、ドイツ人観光客はたくさん居ます。
特に、スペインのマヨルカ島とか。
レストランのメニューなんかも、英語のみならずドイツ語で書いてあったり
現地の方もドイツ語が話せる方が多かったりします。
ヒマさえあれば旅行に出かけるドイツ人は、日本人と対照的な存在かもしれません。
そんな旅行大好きドイツ人と比較して、日本の「若者の海外離れ」について考えてみました。
旅費が高い
まあこれは普通に高いですよね。
ドイツ人の場合。
ドイツはヨーロッパの真ん中にあるので、ヨーロッパ国内ならどこでも行きやすいというメリットがあります。
一方島国・日本は陸続きの国境線を持たないため、海外に行こうとなると飛行機(もしくは船)を使うことになりますよね。
移動距離が長いので、自然と交通費も高くなります。
学生時代:旅行に行くことが不利になる?
ドイツや他の欧米諸国では、学校を卒業してから就職までの間に1年ほど海外へ行く人がとても多いです。
バックパッカーとして旅する人もいれば、1年間同じ国にいて語学を学んだり、仕事を経験したり、時間の使い方は人それぞれです。
現地の企業も、そのように海外で経験を積んだ若者を高く評価する傾向にあるようです。
一方日本では、大学卒業と同時に社会人になることが求められますよね。
もし卒業して1年海外にでも行こうものなら、新卒として企業に応募することができなくなってしまいます。
前の記事で、日本社会に存在する「目に見えないレール」について書きましたが↓
学校卒業→すぐ就職という目に見えないレール、そして社会からの圧力が若者を海外から遠ざけているのではないかと思います。
休暇が少ない
「旅行したくても休みがねぇー!」
確かに。
休みがない。
ましてや長期休暇なんて、もってのほか。
その反面、ドイツ人の有給休暇の平均日数は年30日。
参照:ドイツ人と労働時間 - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト
ドイツ人はみんな「休暇のために働いている」フシがあるので
就職してからも、たくさん旅行に行きます。
日本はその分祝日が多いと言われますが
土日合わせての3連休はあっても、長めの休みは取りづらい。
確かに3連休じゃ、海外旅行はちょっと厳しいですよね。
海外に興味がない?
いまや、何でもネットで検索できる時代。
遠く離れた海外の写真でも、ネットで検索すればいくらでも出てきます。
高いお金を払ってまで、わざわざ海外に見に行く必要を感じない人もいるかもしれません。
海外がこわい
日本は、島国。
そして単一民族・単一言語国家。
外国人と接する機会が少ないので、外国を恐れる傾向にあると思います。
その点ドイツは大陸の真ん中に位置しているので、近隣諸国から人の移動も多く、幼いころから外国人に慣れているということが言えると思います。
またEUには「移動の自由」という大前提があるため、ドイツ国内でもたくさんの外国人が働いています。
あとは、治安の問題なんかもありますね。
日本はとても治安が良いので、治安の悪い海外に恐怖を抱く人も少なくないんじゃないでしょうか。
英語が話せない
観光地であれば大体どこでも英語で何とかなると思いますが
日本人の英語力が極めて低いというのは、海外でもよく言われることです 。
もちろん、日本人でも英語ペラッペラの人はたくさんいますが。
ただ勘違いしてはいけないのが、日本人の本当の英語力はそれほど低くないということ。
実際、日本人の英語の文法力は相当高いと思います。
日本人の英語の問題点は、会話力が低いということ。
頭の中にたくさん知識はあるけれど、それを口に出して話すのが苦手。
逆にイタリア人やスペイン人などは
文法はめちゃくちゃだけど、ペラペラ話します。
会話力が、ものすごく高いです。
ドイツ人は、訛りはあるものの英語を話せる人は多いです。
特に若者は、十中八九話せます。
元々の言語が似ているということもあるでしょうが
それよりも英語を使う機会が日本より多い(外国人と接する機会が多い)ということなのではないかと思います。
それでも、若者が海外に来てみるべき理由
いろいろ理由はあると思います。
その中でも、私が一番大切だと思う理由は
自分とは異なった考え方があるということを理解するためだと思います。
秘蔵の「比較文化論の授業ノート」から、いくつか抜粋してみます。
(ちなみに、この比較文化論の授業のテーマは「他人」でした。)
地球が小さくなることで、世界の人々の問題意識、価値観が共有されるのもグローバル化の一面だが、環境、貧困、人権などの地球規模の問題に日本人はあまりにも無関心ではないだろうか。
また、言葉の問題は重要ですが、同時に、世界には自分とは異なった考え方があるということを理解することも大事です。
ハンス・フォン・ヒンケル
(新聞記事より引用)
異質な者を無意識に遠ざけてしまう。日本人の抱える大きな問題ではないか。他者を受け入れることは、自分を殺すことではない。
黄 清華
(新聞記事より引用)
2つめの引用の黄清華さんは、日本で日本語を学ぶ中国人でした。
黄さんは、日本人の友達がなかなか出来ないことを悩み、アルバイトを始めます。
そしてバイト先で仲良くなった日本人の仲間に、いざ個人的に(バイト以外の時間に)会いたいと告げるとさまざまな理由をつけてやんわり断られることが多かったそうです。
その経験を黄さんが新聞に投稿したものをこちらに引用したんですが、この黄さんの言葉、ささりました。
確かに、私は異質なものを無意識のうちに遠ざけているのではないか。
同じ言葉を話し、同じバックグラウンドを持った仲間と一緒にいるのはとても居心地のいいものです。
ですが、その中で出来上がった価値観が、必ずしも正しいわけではない。
自分とは異なるものを受け入れることによって、自分の価値観が正しいのかどうか、取捨選択をすることが出来るようになると思います。
そして、「異なるもの」の代表格である海外が、自分の価値観を試す場としてはピッタリではないでしょうか。
もし海外を経験してみて「やっぱり日本が一番!」となれば、それはそれでオッケーだと思います。
自分の価値観を、経験という裏付けによって強められた証ですよね。
まとめ
日本の若者にとって、海外に来ることは確かにハードルが高いです。
お金ないし。言葉喋れないし。そもそも時間がない。
でも個人的には
海外という異なる環境を自分の体で実際に体験してみることは、とても意義のあることだと思います。
「百聞は一見に如かず」とも言いますよね。
もちろん、海外での経験は楽しい事ばかりではありません。
辛い事も、嫌な経験もあります。
それでも。
たくさんの人が日本人として海外に来て
その違いを(いい意味でも、悪い意味でも)感じられたらいいなと思います。
そして、
(うちのレストランに)来たれ!海外で働きたい若者!
おわり!