前回の記事では
ドイツの両親学級や母親・父親学級にあたる『出産準備コース』の申し込み方法について詳しく書いていきました。
今回の記事では
ドイツの出産準備コース(Geburtsvorbereitungskurs)で教わった内容 について、私の経験を書いていきます。
はじめに
世の妊婦さん達は日々、本や雑誌、ネットなどで妊娠・出産・育児に関する情報をたっくさん調べて読んでいるのではないかと思います。
最近では妊婦向けのアプリ なんかも充実してますよね。

↑私も妊娠中は毎日このアプリに毎日お世話になってます。
そんな中、ドイツの『出産準備コース』に参加したんですが、、、
出産準備コースで教わる内容は、本や雑誌・ネット・アプリなどで手に入る情報とあまり変わりません。
コースで説明されたことがあまりにも聞いたことのある情報ばかりだったので
個人的には正直ちょっとガッカリしたというか、、、。
ただ
同じ地域で同じ時期に出産予定のプレママに会える というのは、出産準備コースに参加することのメリットですよね。
後々にはもしかしたら、かの有名なママ友みたいな事になっちゃうかもしれないし。
(私は結局、誰とも連絡先交換しなかったけどな。)
あと私は普段日本語で情報を読んでいるのですが
ドイツならではの妊娠・出産・育児に関する情報を知ることが出来た のも、出産準備コースに参加して良かった点でした。
ということで
今回の記事では出来る限り、日本ではあまり聞かない「ドイツならでは!?のユニークな情報」にフォーカスして書いていきます。
参加したコースについて
私が参加したのは、総合病院(Krankenhaus)の中で行われている出産準備コースでした。
場所は、分娩室(Kreißsaal)近くにある入院ステーション内の一部屋。
週1〜2回、18時半から2時間、6週間で計7回の合計14時間のコースでした。
2時間のコース中、1回10分ほどの休憩を挟みます。
コースの定員は、12人。
参加人数はもっといるのかと思っていたので、意外と少人数制でびっくり。
部屋には地べたに人数分(12人+ヘバメ用)のヨガマットが敷かれ
その上に円形のクッションと授乳クッションが置かれていました。
(地べたに2時間座ってるのが結構キツかったんですが、そういう場合は椅子を持ってきてもらえました。)
部屋の真ん中には毎回飲み物(水とApfelscholeというジュースの500mlペットボトル)とクッキーやチョコ、果物などの甘いものが置かれていて、コースの間じゅう自由に取って食べていいようになってました。
妊娠中、食欲モンスターになっているので遠慮せずたくさん食べてやりました。
また毎回妊娠・出産に関する情報冊子や、商品のサンプルなども持ち帰り用に置かれていました。
↑コースに置かれていたサンプル品。
ヴェルダのカレンドラ・おむつまわり用ベビークリームと
ベビーオイルのサンプルセット。
こういうのは、あると助かりますよね〜。
他の日には、同じくヴェルダの妊娠線予防オイルのサンプルも置いてありました。
さすがは妊娠線専用オイル。
伸びが非常に良かったですよ~。
コースに参加した妊婦さん達の年齢は20〜39歳とバラバラで
11人中9人が初産婦、2人が経産婦でした。
出産準備コースの内容
さて、ここからは
出産準備コースでやったことの内容を、主に箇条書きで書いていきます。
、、、とは言っても
私が参加したのは、全7回中4回だけだったんですけどね。
そのせいなのか何なのか、両親学級でよくやりそうな沐浴のやり方の指導とかは全くなく。
↑、、、こういった実践的な指導は全くなく、ほとんどが座学でした。
実践的なことは出産後に家に来てくれるヘバメ(Nachsorge)が教えてくれるから、今はやらないのかも。
上にも書いた通り
一般的すぎる情報は省いて、「へぇーそうなんだ」と思ったドイツならでは?のユニークな情報を中心に書いていきます。
1回目
というわけで、出産準備コースの1回目。
私は妊娠25週目での参加でした。
コースに関して事前に受け取っていた手紙には私だけとも旦那も参加できるとも書いてなかったので、一応旦那と一緒に行ったんですが、、、
この日は残念ながら、女性のみが参加できるクラスだったようで。
コース開催場所まで来た旦那は、その場でお家へリターン。
(ちなみに、同じように旦那さんと来てる人がもう1人いました。
なぜドイツ人でさえ間違うような大切な情報を、事前に手紙で知らせてくれないのか、、、。)
、、、気を取り直して、クラスの中へ。
この日は1人欠席で11人の参加でした。
①ヘバメの自己紹介
まず最初は、このコースを取り仕切る助産婦(ヘバメ)の自己紹介。
そして、呼び方について。
「Du(砕けた呼び方の「あなた」)」がいいか「Sie(丁寧語)」がいいかと聞かれて、普通に「Du」になりました。
②コースの詳細についての説明
お次は、ずーっと知りたかったコースの詳細について。
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コースは1回2時間の全7回で、期間は6週間
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時間は毎回18時半〜20時半までの2時間
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基本的に月曜日だけど、全7回のうちパートナーが参加できる3回は金曜日に開催
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毎週ではなく、週により(というかヘバメの都合により)コースのがない週もある
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コースの費用に関しては、女性もパートナーも保険ですべてカバーされる
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ただし欠席した時は実費になる。費用は1回20€ほど
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出欠は毎回紙にサインで取る
③参加者の自己紹介
続いて、紙に大きく名前を書き順番に自己紹介をしていきました。
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名前
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年齢
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出産予定日と子の性別
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初産婦か経産婦か
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妊娠中に辛く感じていること
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このコースに期待すること
などなど。
参加したコースには、私の他にもう1人外国人(フィンランド人)が居ました。
田舎の病院なので、普通に嬉しビックリ、、、!
④座学
自己紹介が終わると
妊娠中に知っておいた方がいい事 をヘバメがひたすら喋りまくってました。
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色んなことをググるのはいいが、ネットが全てではない
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出産準備リストは長いけど、それはベビー用品で儲けている人がたくさんいるから。本当に必要なものというのは意外と少ない
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特にベビーケア用品に関しては全く必要ない。クリームとかオイルとか。まずは自然のままが1番
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抱っこ紐なども、生まれるまで買うのは待って。そしてどの製品がいいかはヘバメがよく知ってるから聞いて
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子供部屋も生まれる前から作り込むのはいいけど、最初の1年間は何があるか分からないので両親の寝室で一緒に寝かせるのが好ましい
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ベッドは両親のベッドに取り付けられるサイドベッド(Beistellbett)がオススメ↑こういう感じの。
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妊娠中はイラクサ茶(Brennnesseltee)やGrüner Haferteeは飲んじゃダメ
2回目
出産準備コースの第2回目は、1回目のちょうど1週間後に行われました。
この日も、女性のみが参加できるコース。
出席したのは11人で、この日も前回と同じ人が1人欠席でした。
①座学
- 抱き枕は高いものでもないし、授乳クッションや赤ちゃんが座り始めた時の支えとしても使えるのであると便利
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陣痛が始まったら:パニックにならず、落ち着くことが大切。痛い時はゆっくり腹式呼吸を心がけること
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呼吸法を、瞑想しながら練習:鼻から吸い、うっすら開けた口から吐く
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出産後、通常は3日入院。帝王切開の場合は4〜5日。ただし早く退院したい場合は止めないし、もっと長く病院にいたければ居ても良い。「来る者は拒まず、去る者は追わない」スタイル(笑)
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出産後の赤ちゃんの検診について:1回目はヘバメと、2回目は小児科(Kinderarzt)で。退院時に赤ちゃんの検診の日程についての紙をもらえる
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特に妊娠30週以降は食べた物が戻ってくることがある。その時はじゃがいもジュース(!)や炭酸水を飲むと良い
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便秘にはコーヒーや亜麻の種子(Leinsamen)が効く。ただし便秘だからといってトイレに長く座りすぎないこと!子宮の中身出てきちゃうよ〜
②母親手帳(Mutterpass)の見方について
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鉄分:母親手帳内のHB(ヘモグロビン)の値が11〜14なら大丈夫
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血液型がマイナスの場合、27〜28週で注射が必要
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体重管理:妊娠前から12〜14kgプラスが理想的。でもそれ以上になってもパニックにならなくてOK。ただし妊娠糖尿病の場合は注意が必要。
(予定日まであと2ヶ月で+16kgの人がコースにいたけど「大丈夫やで〜」ってなってた) -
妊娠中にお腹が減るのは良くないよ!
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妊娠中は食べられないものが多いけど、生まれたら何を食べてもOK!
③座学
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会陰マッサージをする場合は35週から
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この病院の分娩室での会陰切開率は3%。最近は自然に任せて切らないようにするが主流
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ホメオパシーは不要
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34週からラズベリーリーフティー(Himbeerblättertee)飲む。産後も
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37週から、保険適用で週1回20分の鍼治療を2回受けることが出来る
その後3回分欠席、、、
出産準備コースの予定が、ちょうど前々から予定していた義家族との休暇とぶつかってしまいまして。。。
ということで
2回参加した後に、泣く泣く3回分のコースを欠席。
ちなみに
欠席した3回のうち2回はパートナーも参加できる日でした。
まだあまり自覚のない旦那にこそ、ぜひ参加してもらいたかったのに、、、くそがぁっ!
6回目
、、、というわけで
休暇後、6回目で再びコースに復帰。
この日は、女性のみが参加できる日でした。
①導入
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軽くストレッチ:首回し、足首回し、猫のポーズなど
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呼吸しながら瞑想
②前回の話
前回はパートナーも参加できる日だったのですが、主に産褥期(Wochenbett)についての話だったようです。
前回参加できなかった私のために、ヘバメさんが軽く説明をしてくれました。
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産褥期は6〜8週間(これは日本も同じ)
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この時期の産後うつ(Baby Blues)は普通のこと
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産後体操コース(Rückbildungsgymnastik):産後8週目から。10時間は保険適用。予約は生まれてから
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産後は骨盤底筋(Beckenboden)をまず強くする
③母乳育児について
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母乳には栄養いっぱい。特に初乳(Vormilch)は赤ちゃんの初めての薬。アレルギーなどに対する抵抗力が上がる
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初乳は少ししか出ないことも。その場合はコップまたはスプーンで飲ませる
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母乳はあげすぎることがないし、安い。また子宮復古も早まる
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赤ちゃんは水もお茶もいらない。母乳だけでOK
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母乳が出るまでは1分半ほどかかる
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授乳の際はリラックスした姿勢で。母乳あげる前に胸を温めたりマッサージすると◎
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授乳後はキャベツの葉を使って冷やすと良い→伸ばして胸に貼り付ける。もしくはButtermilchやQuarkを使っても
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産後3〜4日は母乳出づらいかも→安定して母乳を出すため、2〜3週間(出産時の体重になるまで)は3時間ごとに起こして飲ませる(オムツ替えも同様。)3時間は、飲み始めた時からカウント
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赤ちゃんを起こす時は左右または前後にゆっくり揺らしたり、手や足をマッサージする
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搾乳機(Muttermilchpumpe)は不要。手でやる
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お腹が減った時のサイン(Hungerzeichen):指を出すとしゃぶる、首を左右に動かすなど
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ちゃんと飲めているか知るための体重計は不要。1日6〜8回ほどおむつが濡れていれば大丈夫
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生後最初の10〜14日は黄色い鳥のフンのようなうんちが出る
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授乳の際、乳で鼻を塞がないように注意する
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授乳は痛くない!→ポジションを変えたり(横抱き、フットボール抱きなど)乳頭保護器を使う。クリームなどはオススメしない
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おしゃぶりは最低でも6〜8週間は使わない
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体重増加の目安:2〜3週間で生まれた時の体重、5ヶ月で生まれた時の体重の2倍に。ただ赤ちゃんによって成長速度は異なる。悩み過ぎないように
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ユニセフは6ヶ月は母乳育児を推奨、ヘバメは2年までは母乳育児を推奨
7回目
出産準備コースの最終回は、月曜日に行われた前回6回目と同じ週の金曜日に行われました。
この日は、パートナーも一緒に参加できる日。
18時半からは女性のみで呼吸法の練習を行い、19時からパートナーも参加してヘバメの話を聞きました。
①瞑想(女性のみ)
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ヘバメが物語を読む間、呼吸を意識しながら瞑想:鼻から吸い、軽く開いた口から吐く
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陣痛始まったら短く浅い呼吸「ハッハッハッハッハッ」
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妊娠・出産に関するオススメ本の紹介
②パートナーと合流、新生児のお世話について
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新生児の体重:産後3〜4日で7%ほど減る
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産後3日ほどで黄疸が現れるかも。特に目。2日ほどで治ることも。退院後に何か問題があれば小児科へ。血液検査してブルーライトの下に寝かせる
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胎脂:早く生まれた子に多い。産後2〜3日は取らない。取るときは優しく。取ったら乾かす
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鼻:片方が詰まってるとイビキをかくことも。でも鼻水吸引器はいらない→こよりで対処
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目:目ヤニが出るのは普通。母乳を目に入れて洗う、もしくは鼻筋の横をマッサージすると良い。ただし目ヤニが緑色の場合は細菌に感染してる可能性があるので小児科へ
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耳:勝手にキレイになるので、何もしない
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顔・身体の湿疹:ほっとけば治るので何もしない
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男の子の包茎→何もしない。小児科医と相談
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産褥期→6〜8週間。あんまり人呼ぶなよ!(と主にパートナーに言ってた)
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沐浴:1週間に1回。2日に1回拭いてあげる。クリームも沐浴剤も使わない。半年は石鹸もなしでOK(お湯に入れるとしたらオリーブオイルかアーモンドオイル、もしくは母乳を1〜2滴。小さい入れ物でオイル+母乳を混ぜてお湯へ)
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沐浴は37℃→温度計必要かも
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日焼け止めは歩き出してから
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ウェットティッシュ→外出時は使っても良い。ただしデリケートゾーンに使って赤くなったら使うのやめる。家ではぬるま湯で洗うのを推奨
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おへそのケア:生まれてすぐクリーム。3週間ほどで治る。おむつは1回折ってヘソに当たらないように
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おむつかぶれ:紅茶も効果的。長く出してぬるくしてから塗って乾かす
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機嫌の悪い時にドライヤーを使うと泣き止むことも
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おむつ台でおむつを変える時は、すべてを準備してから。絶対に目を離さない!
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爪切り:6〜8週間経ってから切る→炎症を起こすため。それまでは長くても放置。切る時は寝ている間に
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ベビーカーには虫除けネットがあると良い
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温度調節:肩甲骨の間に汗かいてたら暑い証拠
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特に冬は沐浴後やオムツ替えの際にハロゲンヒーター(Wärmelampe)あると良い
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足はいつも暖かく!手はちょっと寒くてもOK→冬は触って温めてあげても
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体温計:おしりで測るやつが正確
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便秘:生後3ヶ月までは薬使わない。キャラウェイオイル(Kümmelöl)でマッサージしたり、温めたスペルト小麦入りの枕(Dinkelkissen)をお腹に乗せたり
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6〜8週目まではしゃっくり多い
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泣きやまない赤ちゃん(Schreibaby):4〜5時間泣き続ける子も→生まれつき首が寝違えのようになっている子もいるのでオステオパシー(Osteopathie)試してみても。(ただし1日3時間ほど泣くのは普通。コミュニケーションの範囲内)
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肌と肌の触れ合いを大切に!母のお腹の上が寝心地いいなら、そのままでも良いじゃない→ただし布団は別のものを用意する
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1歳までは親と同じ寝室で。突然死を避けるため
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3〜4時間まとめて寝てくれたらいい方
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室温は15〜17℃ほどあれば大丈夫→暑かったら脱がせる。冬も15℃あればOK
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ベッドにフワフワしたもの置かない→ぬいぐるみ、シープスキンなど。暑過ぎちゃうから
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枕や毛布も不要。最初は寝袋だけでOK
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仰向けでばかり寝かせない→絶壁になるよ。最初は左右に頭の向きを変える。少しならうつ伏せもOK
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半年までは口と口でキスしない→ヘルペス対策
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赤ちゃん用の歩行器は事故多いし腰にも悪いので使わない↑こんなの
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赤ちゃんをベビーカーなどに座らせるのはいいけど、ずっとはダメ!基本はまっすぐ寝かせる
まとめ
というわけで、今回の記事では
ドイツの出産準備コース(Geburtsvorbereitungskurs)で教わった内容 について、ツラツラと書いていきました。
大分削ったつもりなんですが、書いてたら長くなっちゃった、、、。
すみません。
助産師(ヘバメ)の話は基本的にネットで見たことあるような話が多かったんですが
ドイツと日本で違う点というのもいくつかありました。
特に
沐浴は週1回で、石鹸や沐浴剤・保湿クリームなどは使わない というのはとても驚きました。
日本だと「生まれたその日から毎日沐浴!」って指導されますもんね、、、。
気候とか湿度の違いもあると思うんですが
あるドイツ人のヘバメ曰く「日本人は赤ちゃん洗い過ぎ!皮脂取りすぎ良くない!」だそうです。
、、、同じ人間の赤ちゃんなはずなんですが、いろんなお世話の方法がありますよね。
あと爪も、日本だと「生まれてすぐ長いこともあるし、自分のこと引っ掻いちゃうからすぐ切れるように爪切り必須!」って感じなんですが
ドイツだと炎症になっちゃうから6〜8週間は切らない とか、、、。
私が今回出産準備コースで教わったことは
もしかしたらただ単にコースを指揮したヘバメや分娩室・病院の方針がそうなだけで、ドイツの常識とも違うのかもしれませんが、、、
でも
「あれもいらない!これもいらない!自然が1番!」
「なんかあったら母乳塗っとけ!」
、、、という指導だったので、出産準備は非常に楽でした。
特に赤ちゃんのケア商品なんか、ヘバメの言葉を信じて全く揃えてないですからね。
赤ちゃん用の石鹸も沐浴剤も保湿クリームも爪切りも鼻吸い器も搾乳器も、なーんにも。
まぁ足りないものがあれば、旦那に買いに行ってもらえばいいかなと。
ネットで『出産準備リスト』について調べていて必要なモノの多さに恐れおののいていたんですが
「あんまり心配しなくてもいっか!」と思えるようになったのは、出産準備コースに参加して良かったなと思える点でした。
おわり!